気をつけたいこと
ライフステージ別注意事項
妊娠期
妊娠中は、つわりやホルモンの変化などで、歯肉の炎症が起こりやすく、歯周病になりやすい時期です。
また、歯周病菌が血液中に入ると、子宮の収縮などに関わるプロスタグランジンというホルモンが
異常合成され、早産を招いたり、早産により低体重児を出産するなどのリスクが高まります。
<つわりの時のお口のケアのひと工夫>
・小さめの歯ブラシに変える
・香りの強い歯磨剤はさける
・顔を前傾にして、前にかきだすようにみがく
・抗菌作用のある洗口剤(デンタルリンス)やフッ化物洗口剤(歯科医師に相談する)を使う
・歯みがきができないときは、うがいをする
<妊娠中の歯の治療について>
歯科医院にかかる時は妊娠していることを必ず告げてください。一般的に安定期といわれる妊娠5~6か月くらいが治療に適している時期です。麻酔やレントゲン撮影、使用できる薬剤が制限されることがありますので、歯科医師や産婦人科医に相談し治療計画を立てましょう。
これ以外の時期に痛みなどがある時には、歯科医師によく相談しましょう。
妊娠を理由に必要な治療を怠ると、むし歯や歯周病がさらに悪化することがあります。
また、出産前に歯科医院で歯石除去など歯のクリーニングを行うことも歯の健康に効果的です。
<丈夫な歯をつくろう>
子どもの乳歯は、妊娠7週から10週頃からでき始め、妊娠4~6か月に歯の石灰化が起こります。また、永久歯も妊娠4~9か月頃にでき始めます。歯がつくられるためには、たんぱく質・カルシウム・ビタミン・ミネラルが必要です。子どもの丈夫な歯をつくるために、バランスのとれた食生活を心がけましょう。
乳幼児期
乳幼児期の歯の健康としては、むし歯予防が重要です。むし歯の原因菌は主に家族からの感染であり、大人が口をつけたスプーンや食べものを介してうつります。さらに、甘いものの多食や口の中にいつも食べものがあるような食生活、仕上げみがきの不徹底などがむし歯をつくることから、家族ぐるみで規則正しい食事と歯みがきを習慣にすることが大切です。<むし歯になりにくい間食(おやつ)>
おやつには糖分の少ないもの(おにぎりやいも類、乳製品、果物、野菜スティックなど)、水分も糖分の少ない水や麦茶などがおすすめです。
お子さんの仕上げみがきについて、歯のみがき方や姿勢などの気を付けたいポイントの動画を配信して います。ぜひご覧ください。
下の画像をクリックすると、さいたま市ホームページの動画配信ページに移行します。
学童期・思春期
学童期は、永久歯が生え始める時期でむし歯への注意がいっそう必要になります。自分の歯を自分で守る力を養うために、汚れを赤く染める染め出し剤を使用して、子どもが自分の目でみがき残しを確認できるようにしてあげましょう。最初に生えてくる永久歯「6歳臼歯※」は、歯並びやかみ合わせの基本となる重要な歯ですが、汚れがたまりやすくみがきにくい位置にあるので、とくに丁寧に歯みがきしましょう。
※6歳前後に生え始める歯。乳歯はだいたい3歳前後に生えそろいますが、さらにその奥に生えてくるのが6歳臼歯です。
思春期は、急激な成長に伴う性ホルモンや成長ホルモンの影響で、歯周病菌が増え、口臭が発生することがあります。夜型生活や朝食抜きなどの生活の乱れから、むし歯や歯周病のリスクが高まる時期でもありますので、規則正しい生活や寝る前の歯みがきをしっかり行いましょう。
成人期
成人期においては歯周病予防が重要です。歯周病は歯の喪失だけでなく、生活習慣病や全身の健康状態とも関係し、生活の質の低下をもたらす場合もあります。しかし、初期には自覚症状を伴わないことも多いので、定期的な口腔チェック、口腔ケアを受けて予防や早期発見を心がけましょう。
また、「よく噛む」ことが肥満予防や介護予防につながることが分かってきており、歯や口腔の健康に気をつけて、歯の喪失を防ぐようにする必要があります。
そのためには、気軽に相談できるかかりつけ歯科医をもつことが重要です。
高齢期
高齢期になると、歯が少なくなる人が増えてきます。最近の調査では、食べ物を十分に噛める人と噛めない人とでは、栄養摂取や脳の機能の維持力、転倒・骨折の頻度に大きな差がでることが分かってきました。
高齢期は、舌の動きが悪くなったり、だ液の量が減るために口の中が汚れやすくなります。また、口腔内の細菌、食べかす、逆流した胃液などが誤って気管に入ると、それが原因で誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。この誤嚥性肺炎は、特に、体力の弱っている高齢者では命にかかわるケースも少なくない病気です。予防には、ていねいな歯みがきのほか、舌(舌苔)・入れ歯の清掃により細菌や食べかすを減らし、口腔の清潔を保つことが大切です。
<食品による窒息>
乳幼児、高齢者などでは食べ物による窒息がおきやすいため、その予防・応急手当について知っておくことが必要です。
●食べ物による窒息事故を防ぐために重要なこと
・食べ物は食べやすい大きさにして、よく噛んで食べる。
・食事の際は、なるべく誰かがそばにいて注意して見ている。
食品安全委員会「食べ物による窒息事故を防ぐために」
(応急手当について、図入りで説明しています。)
http://www.fsc.go.jp/sonota/yobou_syoku_jiko2005.pdf
日本歯科医師会 窒息予防チラシ・ポスター
http://www.jda.or.jp/jda/business/chissoku.html