◆たばことがん まず、知っておきたいこと
◆受動喫煙
◆COPD(慢性閉塞性肺疾患)
◆たばこと歯周病
◆たばこと女性
◆禁煙しよう
●がんを予防するためにはたばこを吸わないことが最も効果的
がんを予防するためには、たばこを吸わないことが最も効果的です。
2018年では、男性の喫煙率は29.0%で、女性は8.1%です。
現在たばこを吸っている人も、禁煙することによってがんになるリスクを下げることができます。
これまでの研究から、たばこが肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となることが、科学的に明らかにされています。
がんに なった人のうち、男性で30%、女性で5%はたばこが原因だと考えられています。
図1 たばこを吸っている本人がなりやすいがんの種類(科学的に明らかなもの)
厚生労働省「喫煙と健康」喫煙の健康影響に関する検討会報告書(2016年)より作成
●たばこを吸っているがん患者では別の新たながんが発生しやすい
たばこを吸っているがん患者では、別の新たながん(二次がん)が発生しやすいことが明らかになっています。また、がん患者がたばこを吸うと、がんの再発、治療効果の低下の悪影響もあると考えられています。
●加熱式たばこについて
加熱式たばこの煙には、ニコチンや発がん性物質などの有害物質が含まれています。健康への悪影響が懸念されています。
●禁煙はすぐに、そして長期的な健康上のメリットがある
がんの発生や心臓の病気など、たばこによる悪影響は、禁煙することによって抑えることができます。禁煙によるメリットはすぐに効果があるばかりか、長期間持続し、病気を予防して、長生きすることができます。
●たばこを吸っている人の周りの人も肺がんになりやすくなる
たばこを吸う本人以外がたばこの煙にさらされることを「受動喫煙(じゅどうきつえん)」と呼びます。世界中の研究結果から、受動喫煙も肺がんの原因となることが明らかとなっています。
●望まない受動喫煙を防ぐために
法律が改正され、2020年4月からは多数の人が利用する施設は原則屋内禁煙になりました。また、標識に注意して行動することで、たばこの煙を避けることができるようになります。
【出典】国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/tobacco01.html
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●受動喫煙とは、「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」(平成22年2月25日付健発0225第2号厚生労働省健康局長通知)をいいます。
●たばこの煙に含まれる有害物質は副流煙に多く含まれているため、喫煙している人の近くにいると受動喫煙によりたばこによる害を受けるリスクが高まります。
副流煙…たばこの火から立ちのぼる煙
主流煙…喫煙者が吸うたばこの煙
呼出煙…喫煙者から吐き出される煙
●受動喫煙による害
乳幼児………乳幼児突然死症候群
子ども………ぜんそく 気管支炎症候群
妊婦…………低出生体重児の出産 早産 流産 乳幼児突然死症候群
周囲の人々…肺がん、虚血性心疾患などによる死亡率等の上昇 COPD(慢性閉塞性肺疾患)
●受動喫煙を防ぐため、健康増進法が平成15年5月に施行されました。この法律では、学校や病院、官公庁など多数の人が利用する施設では、受動喫煙防止のため禁煙または分煙といった対策を講ずるよう努めなければならないとされています。
●たばこの煙には空気清浄機では除去しきれない有害物質も含まれています。周りに喫煙している人がいると、どんなに気を付けても、有害物質を体内に取り込んでしまう恐れがあります。喫煙している人は、大切な誰かがたばこの害を受けてしまう前に、禁煙してみてはいかがですか。
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COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字です)は、慢性閉塞性肺疾患と呼ばれています。COPDは病名ではなく、肺気腫や慢性気管支炎などの閉塞性肺疾患の総称です。
COPDは、吸入された有害物質によって発症し、最大の危険因子は喫煙と言われています。しかしながら、喫煙しない人でも、長期にわたり受動喫煙によりたばこの影響を受けている場合も発症する恐れがあります。
COPDの症状としては、気管支に障害が出るため、慢性的なせきやたん、また肺がダメージを受けるためからだを動かしたとき、すぐに息切れします。COPDに対する最も効果的な予防は、禁煙することです。COPDを患い、治療が必要な生活になる前に、禁煙しましょう。
COPDは、からだの中で酸素が不足し、呼吸するだけでも負担がかかるので、体力を消耗します。そのため、症状が進行し悪化すると、体重減少、気胸、心不全や呼吸不全を伴います。
COPDに罹ってしまうと、肺が健康時と同じような状態に戻ることはありません。
治療によって肺はある程度まで回復しますが、最終的には症状が進行・悪化しないように、維持することが目的となります。予防し罹らない、また罹ってしまったとしても早期に発見し早期に治療を開始することが大事です。息切れ・せきやたんが長期にわたって続く場合、一度診察を受けましょう。
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●歯周病は、歯と歯肉(歯ぐき)のすきま(歯周ポケット)から細菌が侵入し、歯肉に炎症を引き起こし、さらには歯槽骨(歯を支える骨)を溶かし、歯の周囲を支えている組織を壊してしまう病気です。
●喫煙は糖尿病と並んで歯周病の二大危険因子とされています。たばこの煙の入口である口腔、そして歯周組織は直接その影響を受け、免疫力の低下が起こったり、歯周病が治りにくくなります。
●歯を失う80%以上の原因はむし歯と歯周病ですが、こうした歯科疾患は自覚症状を伴わないことも多く、疾患がある程度進行した時点で症状が生じるため、歯科健診を定期的に受けることが大切です。
さいたま市「がん検診等のご案内」
<成人歯科健康診査>をご参照ください
https://www.city.saitama.jp/002/001/014/006/001/p001476.html
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喫煙は美容に対しても悪影響を及ぼします。たばこを吸うとニコチンにより毛細血管が収縮され、一酸化炭素がヘモグロビンと結びつき、からだが慢性的な酸欠状態になり、血行も悪くなります。そのため、肌の新陳代謝が悪くなり肌が荒れてしまいます。また、メラニン色素の代謝に関係するビタミンCを体内で消費させるのでシミ、そばかすの原因にもなります。
ヤニによる歯の黄ばみや、歯肉の血流障害による黒ずみの原因にもなったり、
その他に、女性の罹患率が高い、乳がん、子宮がんに罹るリスクが増加したりします。
妊婦が喫煙すると、たばこの害は本人だけでなく、胎児にも影響します。母体には早産、流産の危険性が高まり、生まれた子に対しては、低出生体重児、乳幼児突然死症候群の危険があります。
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厚生労働省による平成28年国民健康・栄養調査では、現在習慣的に喫煙している人の割合は、男性が30.2%、女性が8.2%、総数では18.3%と報告されています。また、同調査では現在喫煙している人のうち、喫煙をやめたいと思う人の割合を男性が25.4%、女性が35.0%、総数では27.7%と報告しています。喫煙している人の割合は減少傾向にありますが、やめたくてもやめられず喫煙を続けている人が、まだ大勢います。
禁煙を成功させるため次のことを試してみてはいかがですか。
●さいたま市民の喫煙状況
平成28年の市民調査によると、20歳以上の市民における
喫煙する人の割合は、13.5%であり、30〜40歳代の男性は
30%超と高い結果です。また、喫煙者のうち、喫煙を
やめたいと思う人の割合は、26.3%です。

出典:平成28年度さいたま市健康づくり及び食育についての調査結果報告書
https://www.city.saitama.jp/002/001/015/001/p046933.html
<たばこを吸いたくなったら>
・歯をみがく
・水やお茶を飲む
・深呼吸する
・ガムをかむ(ただし糖分の少ないもの)
・家族に禁煙を宣言して協力してもらう
長期にわたって喫煙をつづけている方には、「禁煙なんていまさら」と思うかもしれませんが、喫煙をやめたときからからだは回復に向かいます。勿論早期に禁煙することが望ましいことですが、たとえはじめるのが遅くても、禁煙に成功すれば自分のからだが健康になっていくことが実感できると思います。
<禁煙の効果>
禁煙による健康へのメリット ファクトシート
20分後 |
血圧と脈拍が正常値まで下がる。 手足の温度が上がる。 |
8時間後 |
血中の一酸化炭素濃度が下がる。 血中の酸素濃度が上がる。 |
24時間後 |
心臓発作の可能性が少なくなる。 |
数日後 |
味覚や嗅覚が改善する。 歩行が楽になる。 |
2週間〜3ヶ月後 |
心臓や血管など、循環機能が改善する。 |
1ヶ月〜9ヶ月後 |
せきや喘息が改善する。 スタミナが戻る。 気道の自浄作用が改善し、感染を起こしにくくなる。 |
1年後 |
肺機能の改善がみられる。 ※軽度・中等度の慢性閉塞性肺疾患のある人。 |
2〜4年後 |
虚血性心疾患のリスクが、禁煙を続けた場合に比べて35%減少する。 脳梗塞のリスクも顕著に低下する。 |
5〜9年後 |
肺がんのリスクが喫煙を続けた場合に比べて明らかに低下する。 |
10〜15年後 |
様々な病気にかかるリスクが非喫煙者のレベルまで近づく。 |
【出典】国立がん研究センター情報サービス
たばことがん もっと詳しく知りたい方へ
たばこをやめられない、禁煙できない原因は意志が弱いだけではなく、「ニコチン依存症」が大きく影響しているかもしれません。ニコチンには強い中毒性、依存性があり、血液中の濃度が下がると、ニコチン摂取、つまりたばこを吸いたいという衝動が襲ってきます。最近では、ニコチンの離脱症状(禁断症状)を軽減し、禁煙を助ける禁煙補助薬を処方してくれる禁煙支援薬局や、ニコチン依存症を治療する禁煙外来を開設している病院などもありますので、これらを利用し、禁煙を成功させるのもひとつの選択肢です。
お近くまたはかかりつけの医療機関にお問合せいただき、禁煙外来が開設されていれば一度ご相談してみてはいかがですか。また、禁煙治療には健康保険が適用される場合もあります。あわせてお問合せしてみてはいかがでしょう。
さいたま市内の禁煙外来リスト
https://www.city.saitama.jp/002/001/014/001/p002514_d/fil/ikkatsu.pdf
特定非営利活動法人 日本禁煙学会「全国禁煙外来・禁煙クリニック一覧」
http://www.kinen-map.jp/hoken/list.php?pref_id=11
財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康ネット〜ニコチン依存度判定法〜」
http://www.health-net.or.jp/tobacco/risk/rs210000.html
ファイザー株式会社 禁煙外来へようこそ。お医者さんと一緒に禁煙をはじめませんか?
http://sugu-kinen.jp/
(ファイザー株式会社は平成27年1月にさいたま市とたばこ対策及び健康づくりの推進に向けた包括的連携に関する協定を締結しました。)
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